書評

「溺れる人魚たち」レビュー かつて少女だったあの頃、世界はほろ苦かった

溺れる人魚たち

こんにちは。ロビン(@chiteki-robin)です。

人生ばら色です。

好きな音楽はクラブミュージックです。

ノリノリでアゲアゲな曲しか聞きません。

中身はテンション高めなのに、おとなしそうに見られます。

いやー、見た目の印象って怖いですね。

ギャップも激しいと結構引かれるんですよね。

わかってますよ。悲しいです。

 

「溺れる人魚たち」

著者はジュリー・オリンジャーさんというアメリカ人の方。

9つのストーリーからなる短編小説です。

またこのお話がどれも暗いんですよね〜。

でも何度も読み返してる大好きな本なんです。

 

どの話もティーネイジャーの少女が主人公なんですが「10代の女の子」だった時期に味わった苦悩、切なさ、息苦しさ。

そういうものが詰め込まれていて、ほの悲しくほろ苦い。

 

近頃の私は毎日楽しくて嫌なことがあったとしても(滅多にないけど)一晩寝ると忘れてしまうから、悲しい気分に浸ることなんて今ではほとんどありません。

昔はもっと、ちょっとしたことで落ち込んでたりしたはずなのに。

これも経験なんでしょうね。気がつけば、傷つかない方法を身につけてた。

あるいは歳を重ねて図太くなったのか。。(多分こっちだな)

まあ、とにかくそんなにしんみりすることがない今日この頃。

でもこれって逆にヤバくない?とも思うんです。

 

「ポジティブが善」みたいになってる世の中ですが「楽しい!楽しい!」の後に残る虚しさは何なんだろう?とふと思うことがあって。

あまりにもポジティブが行き過ぎて、麻痺してしまってるんじゃないかと。

ネガティブは決して悪ではないですよ。

いろんな感情を味わうのも人生の醍醐味ですからね。

きっと大切なことなんです。

 

これを書くにあたって、もう一回読み返しました。

 

私が好きなのは「あなたへ」と「母の恋人

 

あなたへ

学校でいじめを受けてる女の子の話。

エリックという人気者の男の子に恋している主人公。

エリックだけは彼女を他の子のように笑ったり蔑んだりしない。

でも本当の意味で、彼女を守ってはくれない。

生半可な優しさは残酷さと同じことなのだよ、エリック君。

この男の子とダンスを踊る場面が、唯一このお話の中で輝いてるんです。

その瞬間だけを胸に刻んで生きていく主人公。

もちろんそんなものは一過性で、いずれめまぐるしく過ぎていく時間の淵に追いやられていくのだけど。

 

その年代の誰もが、今の現状が世界のすべてだと思っている。

そんな時期もあったな〜。

大人になるとすっかり忘れてしまうんですが。

心臓を素手でつかまれるようなぎゅーっとした感覚。

たまには思い出してみて。

近頃なんだか疲れが取れないあなたに、センチメンタルを推奨します。

 

母の恋人

原題は、”What we save”

読んで初めて理解できるこのタイトルの意味。

癌に冒された母親と妹、その元恋人の家族とディズニーワールドに行く話。

十九年前に恋人同士だった主人公の母とブライアン。

毎年クリスマスカードを送り合う間柄で、彼には妻と双子の息子がいる。

 

抗癌剤の副作用で髪を失い、カツラをかぶっている母。

癌は彼女から乳房もリンパ節も子宮も卵巣も奪っていった。

死んでいくとはこういうことなのだと実感する。

誰にでものぞかれたくないプライベートな秘密はある。

ディズニーワールドという夢の世界で、主人公は母親と元恋人の秘密のやりとりを見てしまう。

 

実際、著者も若い頃に母親を癌で亡くしたようです。

著者の経験が色濃く作品に表れていて切ない。

 

複雑すぎるよね。家族だもん。

母親もかつては少女だった。

想像することでしか補えない母親の少女時代。

乙女って複雑よねー、まったく。

 

と、まあ。いじめとか家族の病気とか恋とか宗教。

そんなものがベースになって書かれている小説です。

 

ちなみに「溺れる人魚たち」というタイトルの話は入ってません。

原題は、”How to Breathe Underwater”

水の中で呼吸する方法。

キュンとなったり、しゅんとなったり、ズドンと落ちたり。

そうやって、少女たちは大人の階段を上っていくのです。

 

突き刺すような胸の痛み、アゲイン。

明るく楽しい毎日に、ちょっと暗めの話をかじってセンチメンタルになってみるのもいいのではないでしょうか。

いくら好きでもアゲアゲな曲が続くと飽きますからね。

間でメロウな曲を挟む感じで。

それでは、どうぞ!